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平成16年11月 雑誌「E-Contecture (イー・コンテクチャー)11月号」
発行:株式会社日報アイ・ビー
弊社 代表取締役 村上泰司 のロングインタビュー 掲載

ロングインタビュー ダイジェスト版
「これからの建築解体事業を展望する7つのポイント」

Point1 経済性のない土地の建物はのざらしになる
― 戦後に建てられた建物が更新時期を迎える一方、少子高齢化により建物需要が減少していきますが、解体工事の今後はどう進むと捉えればよいでしょう。
村上:今は家を壊して建て替えるより、全般に新規取得者に住宅需要が移っています。いわゆるパワービルダーの需要が高まっており、当面は住宅解体廃棄物が飛躍的に増えることにはならないでしょう。ビル、事務所、マンションなど大型の建物が壊され・大型だけに解体廃棄物の発生量が増えていく可能性はあります。
― 少子高齢化と世帯数の減少が、解体需要や住宅建設にどのような影響を与えますか。
村上:都会に出てきた若い人が住宅を1次取得すると、世代交代の住宅取得が解体と連動しないことになります。地方の建物は壊す価値がなければ壊さないので、解体しないで野ざらしになる。バブル崩壊と合わせて土地に経済性がなくなった点は見逃せません。

Point2 都市再開発による周辺開発は両刃(もろは)の剣
― 一人当たりの住宅やビルに締める面積が大きくなって、建物に空間やゆとりを求めるようになると、再開発が次の再開発を産むように連鎖的に建設需要が喚起されるのではないかと思います。
村上:今のところ購入者層が1次取得者のため、住環境やゆとり重視の供給ではなく、経済性優性の姿勢がまだ強いですね。目先の経済性でビル群が建つと周辺地域の経済性は落ち、周辺のビルは空いてしまいます。
周辺の小規模なものをリニューアルしてみたところで、大規模開発のビル群や店舗群の集客力には追いつきません。壊して建て替えるほどの経済性まで考え直すことになります。
― 耐震性や建物が老朽化することの危険性から、経済性の観点だけでなく古い建物が壊されるようにはなりませんか?
村上:収益用の建物は壊したくても、壊して新たに収益物件としての価値があるかといったら、こういう時代になかなか皆さん踏み切れない。

Point3 床面積の大きい非木造の解体は増える
― 建て替えや再開発が中心のこれからの建設需要で、解体工事の需要はどう動いていくのでしょうか?
村上:再開発だけでは建替えや解体の需要は著しくは喚起されないでしょう。解体件数は減るかもしれないけど、解体物件の1棟当たりの床面積が増大していくことは考えられます。ビル、工場、事務所など非住宅の解体物件が増えるかもしれません。

Point4 発注者に事前届け出の意識がない
― 建設リサイクル法の制定や廃棄物処理法の規制強化を受けて、解体工事業者の意識や事業姿勢は変わってきたのでしょうか?特に建リ法は必ずしも制度が機能していないのではないかと思いますが。
村上:法律が機能するかしないかのポイントはまず発注者だと思うんですよ。発注者の方が自分のお金を払うわけだから、払った分がきちんと機能して使われたのかというのを追いかけないとだめですよね。解体になると壊してなくなるから、後の維持管理もないので追跡しない。
建リ法は事前届出などで発注者の責任を明示していますが、実際は元請が管理し、責任を負う部分が多い制度です。だからおさら発注者の認識が薄い。

Point5 解体廃棄物の不法投棄に社会的制裁が必要
― もう1つ、解体業者に聞くと、建物解体の全工事の6割ぐらいは不動産絡みじゃないかという話があります。中小の物件だと不動産業者が解体工事を仲介しています。
村上:解体に関しては地上げ時に解体が前提になっている場合があります。解体業者が受けたんでしょうが、元請の責務を果たしたのかどうか、解体工事届を出したのか、非常にわからないところがありますね。
― 建リ法に課題があるならどこを見直せばいいのでしよう?
村上:建リ法は法を守らなかった場合の、事の重要性を示していない部分があります。不法投棄でつかまっても、必ずしもその会社はつぶれないんですね。
法律だけでなく、世間の目が変わらなきゃいけないでしょうね。家を壊したら最低限それをどう適正に処理されたかということぐらいは、発注者であるお客様は確認しなければなりません。使われていなかったらそれなりの制裁を企業は受けるべきなんですよ。

Point6 解体業者は下請気質から脱却しなければ
― 元請は発注者に事前届出等について書面で説明する義務がありますが、ほとんど中身を知らないケースが多いのではないですか。
村上:解体業者か収集運搬業者に見積もらせているわけで、みずから見積もれないものを、発注者に事前に説明できるのかといったら、ほぼできないんじゃないですかね。
本来、建設業法では元請業者が見積もりをするべきで、それが解体工事だけ逆戻りしています。解体に関する積算とか新築のごみに関する収集運搬の積算ができないこと自体が元請としての能力がないということです。元請がその能力を持てば、発注者にもきちんと説明できるはずなんです。
― そうすると、当面はまだ解体工事業や解体施工技術、解体市場などは大きく変わらないのですか。
村上:下請の立場に甘んじている限りは変わらないでしょうね。
― 解体廃棄物の適正処理やリサイクルを進めるという点で、建リ法や処理法の効果はまだ弱いと言えるのでしょうか。
村上:貢献はしているでしょう。罰則規定もあるし、社会的な評価も徐々に高まりつつあります。
― 分別解体を推進するなら安全対策も徹底する必要があるのですが、その辺も元請や発注者、解体業者自身の意識は薄いのですか。
村上:しっかりした足場を組みたいと思っても、そんなものいらないと元請に言われたら、すぐにやめてしまいます。自分が元請だったら、工事でのけが人や死亡者の責任を負うから足場をかけると思います。
まず業としての自分のアイデンティティーを確立する必要があるでしょう。
― 建廃の適正処理を前提に、コストのことを元請や施主にもう少し分かりやすく説明した方がよさそうですね。ミンチで工期を短くしてあげるから、これぐらい高いお金をくださいとか、しっかり分別して環境対策に貢献するから工期が少し長くなりますとか。
村上:分別解体は工期が少し長くなりますが、施主側は解体工期が3日でも2週間でも、大きな問題にはならないでしょう。

Point7 SRCは壊さず長く使う筋道を
― これから住宅ならSRCやRC、非住宅ならプラントや大型物件の解体が増えますね。従来と違う新しい施工ノウハウが必要になるのですか。
村上:基本的には変わらないでしょう。躯体の構造体以外の材質はほとんど同じです。確かにRC建物で階層の高いものと木造解体とは、解体工法や安全対策も違うでしょう。
高層建築でSRC造などは、解体施工技術は難しくなくても、建てる時の手間と比べていっそう手間のかかる工事になるでしょう。強度上の問題さえなければ、本当にスケルトン・インフィルにしてもう1回建物として再使用するという方法も必要でしょう。壊さないで100年、200年保たせていくのです。
― 処理業から解体業への参入が増えつつあるようですが。
村上:発注側から見れば、処理業者の方が安心できるので処理業者が解体工事を受注する局面も増えるでしょう。解体業は廃棄物に強くならなければいけません。解体費用についても処理料金を含めてまず上限を知って、それを下限に出発し、(企業努力で)それを下げていく。価格の基準を自らつくらないといつまでも自立できません。
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